かもめでんしゃの鉄道旅ブログ

鉄道を軸に 史跡・名所をめぐっていきます。

岩船寺~浄瑠璃寺/古刹の三重塔~極楽浄土の三重塔 [奈良・斑鳩1dayチケットの旅<04>]

 

 

09:11

路線バスで岩船寺浄瑠璃寺

近鉄奈良駅 09:11発の奈良交通バスの浄瑠璃寺行き(急行)に乗り、 09:34に浄瑠璃寺のバス停に到着。ここが終点です。この先は、コミュニティーバスと乗り換え接続していて、浄瑠璃寺のバス停で乗り換え、浄瑠璃寺から岩船寺へと向かいます。岩船寺は09:51着。このコミュニティバスの移動時間は、5~6分ほど。

そう。近鉄奈良駅のバス乗り場ですけど、浄瑠璃寺行きのところが、ターミナルから少し離れたところにあるんですね。乗り遅れそうになりました。

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近鉄奈良駅から浄瑠璃寺の運賃は片道だけでも580円。往復にして1,160円。「奈良・斑鳩1dayチケット」では、この路線も乗り放題の対象ですので、かなり得した気分になります。ただし、コミュニティバス区間は対象外となります。念のため。

09:51

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古刹の三重塔【岩船寺

まずは、岩船寺ですね。近くにある浄瑠璃寺もふくめて、このあたりを当尾の里と呼びます。行政的には京都府ですが、古くから奈良と縁がある地域になります。だからでしょうが、奈良交通バスも、山間の集落にもかかわらず、わざわざ、ここに路線を通しているのでしょう。

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当尾の里・のどかな風景

岩船寺の寺伝によれば、岩船寺聖武天皇の勅願により行基が建てた阿弥陀堂が起源。なかなか由緒あるお寺というわけですけど、まあ寺伝ですからね。ただ、奈良時代に建立されたことは確かなので、古刹というにふさわしい寺院です。

本堂は、というと、1988年に再建された新しい建物ですが、本尊の阿弥陀如来坐像は平安時代の作といわれています。

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岩船寺・本堂

そして、岩船寺で有名なのが、境内の奥にある三重塔。室町時代の再建です。屋根をささえる四隅の垂木をよく見てみると、天邪鬼である隅鬼が彫刻されています。

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岩船寺・三重塔

 

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岩船寺・三重塔の隅鬼

垂木に彫刻されている天邪鬼。「あまのじゃく」と読みます。一般的には「わざと人とは逆のことをする ひねくれもの」のことですね。これが仏教でいうと、人間の煩悩をあらわします。お寺によくある四天王の仏像の足元をみると、踏みつぶされている鬼の彫刻が、この天邪鬼です。いかにも小物感のある鬼ですね。

10:05

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素朴な石仏たち【当尾の石仏】

急ぎ足で、岩船寺から浄瑠璃寺へと向かいます。このあたりは当尾の里とよばれ、奈良と縁があることは説明しましたが、具体的にいうと、奈良仏教の僧侶たちが逃れて、この地に住んでいたということなんですね。説明によると、「当尾」という地名のも、「仏塔の尾根」からきているとのこと。仏教が盛んな地域だったようです。

このあたりは石仏めぐりということで散策コースがいくつあるようですが、移動の時間も30分弱と限られているので、小走りで、最短コースで進んでいくことにしました。ですので、通りすがりの石仏しか見ておりません。ゆっくりと見ながら散策するのなら1時間は欲しいところ。

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当尾の里・わらい仏

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東尾の里・藪の中三尊磨崖仏

まあ、いくつか見れましたけど、説明にある石仏ポイントを数えてみると、43か所に点在しているようなので、とてもとても見回るわけにはいきません。ちなみに岩船寺浄瑠璃寺の境内にある石塔なども、この石仏ポイントに入っていました。

10:30

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唯一現存する九体阿弥陀如来堂【浄瑠璃寺・本堂】

さて、浄瑠璃寺に到着。石船寺から徒歩で25分といったところ。散策コースとはいえ、まともに舗装がされていない山道もあったので、焦りました。

浄瑠璃寺には、平安末期の本堂と三重塔が残っております。この本堂には、9体の阿弥陀如来座像と四天王立像たちがおさめられています。これらの建物と仏像がともに国宝。当時の浄土庭園や浄土教の仏像を伝える貴重な資料としても、歴史的価値が高いとされています。

誤解されている方がいるかもしれませんが、浄瑠璃寺の「浄瑠璃」の寺号は、仏教でいう「浄瑠璃浄土」の世界からとっています。三味線の「浄瑠璃」とは別物です。

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浄瑠璃寺・山門

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浄瑠璃寺・紅葉と池

解説によると、この9体の阿弥陀如来座像を安置するというのは、浄土宗の教えのひとつで、九体阿弥陀堂というようで、平安時代に多く建立されたようですが、現存しているのは、この浄瑠璃寺のだけ。たしかに、一つひとつは小振りな仏像ではありますけど、阿弥陀如来座像が9体ずらりと並んでいる光景は、なかなか見ごたえがあります。ちなみに。9体のうち真ん中だけが、やや大きめになっています。

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浄瑠璃寺・9体の阿弥陀如来坐像

 ※ 仏像の写真は拝借しております。

さて、先に堂内の仏様を取り上げてしまいましたが、阿弥陀如来座像の置かれている本堂ですね。この本堂というのは、寄棟造りの簡素な建物になります。寄木造りというのは、四方向に傾斜する屋根をもつ造りですね。堂内も、天井面を張らず、垂木が見えているという、質素な造りとなっています。とても抑えた感じになっています。同じ「極楽浄土」を表現していても、平等院鳳凰堂のような優雅さではなく、上品で落ち着いた雰囲気です。

そして、堂内からは、大きな池と赤い弁財天さんの祠が見えます。とても綺麗な景色です。そして、池の先には、三重塔も見えます。

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浄瑠璃寺・本堂

極楽浄土の三重塔【浄瑠璃寺・三重塔】

いよいよ三重塔ですね。浄瑠璃寺の三重塔。本堂とともに平安末期の建物といいましたが、どうも三重塔は、もともと、どこかのお寺から移築されているらしいです。文献をたどれば、京都の一条大宮まではたどれるようなんですけどね。ここに薬師如来像が納められているようですが、一般には見ることはできません。薬師如来は現世利益信仰の仏さんですね。

 

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浄瑠璃寺・三重塔と池

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浄瑠璃寺・三重塔

そうそう。浄瑠璃寺で知っておいきたいのは「浄土庭園」ですね。浄瑠璃寺の浄土庭園は、兼六園など全国に36か所しかない特別名勝のひとつに選ばれています。

「浄土庭園」とは、本堂や阿弥陀堂の前面に広い池を配している庭園のこと。本堂や阿弥陀堂を浄土の世界に見立てるために、池を配したというわけです。有名なところでは、やはり平等院鳳凰堂が、この庭園形式を取っています。ただ、ちょっと浄瑠璃寺の優越感をもって紹介するのなら、平等院鳳凰堂の浄土庭園は名勝どまりなんですよね。

念のためですけど、「浄土」というのは、煩悩や汚れのない世界で、仏や菩薩が住む世界のことですね。阿弥陀如来の「極楽浄土」や薬師如来の「浄瑠璃浄土」といったものがあります。「極楽浄土」が何で「浄瑠璃浄土」が何なのかは、それ以上のことは分かりませんけど、三重塔の薬師如来像から「浄瑠璃寺」の寺号がきているんでしょうね。

そういえば猫さんがお堂の受付のところを闊歩していました。

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浄瑠璃寺・闊歩する猫さん

10:44

路線バスで奈良へ戻る

これにて岩船寺浄瑠璃寺は終わり。路線バスで奈良へと戻ります。浄瑠璃寺のバス停はすぐそこです。行きとは逆ルート。10:44発 JR奈良駅行き(急行)で、11:09に近鉄奈良駅のバス停に到着。もちろん「奈良・斑鳩1dayチケット」を使います。 

余談ですが、「浄瑠璃寺口」というバスがありますが、浄瑠璃寺から徒歩30分以上はあろうかという距離ですので、降りるバス停を間違えないように。