かもめでんしゃの鉄道旅ブログ

鉄道を軸に 史跡・名所をめぐっていきます。

猿沢池~奈良公園/神秘の池と神の使い ならシカ [奈良・斑鳩1dayチケットの旅<03>]

 

08:45

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神秘の池【猿沢池

ここで、いったん興福寺の境内を出ます。興福寺五重塔から興福寺を「五十二段」の石段を下り、猿沢池の畔に向かいます。

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「五十二段」側からみた興福寺五重塔

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猿沢池から見た興福寺五重塔

石段の「52」という数字には意味があって、悟りの数、仏教でいうところの「悟りの52位」ですね。悟りには、それぞれ名前がついているようですが、ようするに、下の1段目がもっとも低く、上の52段目がもっとも高い悟り。悟りですから、1段目でさえ、凡人では到達できるものではない。52番目の悟りが「妙覚」とか「無上覚」とか言います。この域に到達したのは、お釈迦さま一人だけということになっています。興味をおぼえて調べてみると、2番手が龍樹というインドの菩薩で41段目なので、お釈迦さまの独走状態。日本の開祖の方々は10段目あたりをうろうろ。そんな位置づけになっています。

猿沢池は、奈良時代興福寺がつくった人口池ですね。七不思議とか采女伝説とかがあって、どことなく神秘なイメージがあります。七不思議が何かとかは畔の碑で説明されているので省略しますが、ここにおサルさんがいたから「猿沢池」ではないのです。インドの仏教国のひとつに、それこそ サルがいる池があって、そのイメージから「猿沢池」としたようですね。いずれにしても、今回は、時間がなかったので、「猿沢池越しに五重塔を撮った」だけ。猿沢池は、何度も行っていますからね。

聖武天皇が建てた金堂【興福寺・東金堂】

では、ふたたび興福寺に戻ります。さきほどの五重塔の隣にあるが東金堂です。東金堂は、解説によると、聖武天皇元正太上天皇の病気全快を祈って建てたとされます。中金堂の方角を向いて建てられていますね。五重塔と同じく、室町時代の中頃に再建されたものです。

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興福寺・東金堂と五重塔

興福寺は何度ども焼失していますからね。東金堂もまた、奈良時代の建立から、焼失と再建を繰り返して、室町時代になって、ようやく定まったわけです。

この建物も国宝です。前面は吹放で、木割が太いのが印象的です。ちなみに前放と書いて「ふくななし」と読みます。壁に建具を設けることなく、柱のみを置いた伝統的な建築方法を、前放といいます。

ちなみに東金堂があるということは、対の西金堂もあったわけですが、こちらは焼失したまま。さきに紹介した北円堂と南円堂の間に建てられていたそうです。

09:00

国宝仏像の宝庫【興福寺・「維摩居士座像と文殊菩薩座像」「阿修羅像」】

さて、最後に、興福寺の国宝仏像の紹介です。

興福寺の国宝仏像(国宝彫刻)の数は17件。これは、法隆寺と並んで日本一の件数となります。興福寺が何度も火災に遭ったにもかかわらず、これは奇跡という他はないです。ちなみに国宝仏像は日本国内で138件しかありません(2019年12月現在)。

興福寺の国宝仏像がみられるのは東金堂と国宝館です。北円堂や南円堂にも国宝仏像がありますが、こちらをみるのは期間限定となります。

まずは東金堂。ここには4件の国宝仏像がおさめられています。4件といっても、そのうちの1件は十二神将立像の12体のですので、多くの国宝仏像がみられます。

本尊の薬師如来像の左右に配しているのが、「維摩居士座像と文殊菩薩座像」。これも国宝仏像になります。ともに鎌倉時代の作。四角形の台座にあるのが維摩居士座像、円形の台座にあるのが文殊菩薩座像と対になっています。解説によると、これが「維摩経」に書かれている文殊維摩の問答を再現しているとありますけど、まず「維摩経」が分からない。分からないなりに解釈すると、維摩さんは「居士」なので、仏さんでも僧侶でもなく、在家の信者。その維摩さんが、知恵の仏で有名な文殊さんと、対等に問答をしあっている構図というわけなんです。

ちなみに、本尊の薬師如来像のほうは室町時代のときの作で国宝ではありません。奈良時代のものは建物とともに焼失しております。ただ、焼失をまぬがれた頭部だけは、国宝になっていまして、国宝館のほうに保管されています。

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興福寺薬師如来像、維摩居士座像と文殊菩薩座像。

そして、つづいて国宝館。ここに、国宝仏像の宝庫といわれる興福寺にあって、随一といわれる「阿修羅像」があります。奈良時代の作です。

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興福寺・阿修羅像

  ※ 仏像の写真は拝借しております。

阿修羅さんが、どういう仏なのかの説明は省略しますが、三面六臂。つまり3つの顔と6つの腕からなる仏像ですね。どうしても上部分に目がいってしまうのですが、足元をみてみるとサンダルを履いています。板金剛というそうですが、そこが、なんともインドっぽいです。あと、興福寺の阿修羅像は、手に何も持っていないんですよね。もともと仏具や武器を持っていたらしいんですが、どこかで無くしたようです。それがかえってミステリアスな印象となっています。 

ここまで阿修羅像を説明しておいて、重大なことをお伝えしなくてはなりません。阿修羅像は、時間の都合上、今回は見ておりません。。

えっ!?

阿修羅像も以前に見たことがあるので割愛しました。そもそも、次のことを考えると、阿修羅像のある国宝館に立ち寄る時間がなかったのです。でも、あえて阿修羅像を紹介したのでは、興福寺に、この阿修羅像は欠かせないと思い、あえて取り上げてみました。悪しからず。

09:05

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神の使い ならシカ【奈良公園

興福寺の境内を北へ抜け、奈良公園を横切って、近鉄奈良駅へ戻ります。奈良公園を横切って」といっても、興福寺のあたりの、ほんの一部ですけど。奈良公園の西の端。

奈良公園については、のちほど説明をすると思いますが、とりあえず「奈良公園」の範囲について話しをします。一般的の「奈良公園」のイメージは、興福寺東大寺春日大社などのあたりの公園。社寺の境内も含まれます。これは文化財としての「奈良公園」と、ほぼ同じイメージです。ただ、都市公園としての「奈良公園」というものもあり、これは、もっと範囲が広くて、若草山など山の部分も含まれています。ただ、逆に、社寺の境内は対象外ということになるようです。

奈良公園といえば、シカですね。1000頭を超える野生の鹿がいます。「野生の鹿」というとしっくりこないのかもしれませんが、ようするに「所有者がいない鹿」ですね。

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奈良公園の鹿

 

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奈良公園の鹿


「野生の鹿」とはいえ、奈良公園のシカは、春日大社の神使とされ、古くから手厚く大事にされています。国の天然記念物なんですよね。「所有者がいない鹿」といいましたけど、由来の経緯から「春日大社のシカ」とも言われています。

とにもかくにも シカは、愛らしい 奈良のマスコット。御託を並べてもしかたがありませんかもしれませんね。

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奈良公園の鹿